天然かんすいのラーメン

1、天然結晶かんすいと合成かんすい
 ラーメンの麺に独特の、こし・風味・色を出すかんすいとはどのようなものでしょうか。1700年以上も昔、中国のある村人が山の涌き水で麺を打ってみたところ、こしのある美味しい麺が出来ました。涌き水の水脈をたどって行くと、大きな湖がありました。これがかん湖という炭酸ナトリウムのアルカリ性の強い湖だったのです。その水が結晶化したものが天然結晶かんすいです。
 以前はこの天然結晶かんすいを水に溶かしてかんすいを作っていたのですが、最近では化学合成のかんすいに変わってしまったのです。
 合成かんすいは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、リン酸三カリウムなど21種類あり、その中の1種類以上含まれたものです。これらの化学物質には肝臓障害や腎臓障害などの有害性が疑われています。
2、恐竜の化石発掘で天然かんすいを発見
 これまで、中国でも天然かんすいは、ほとんど利用されておらず、合成かんすいが使われてきました。
 1992年、恐竜の化石の発掘調査を中国の内モンゴル自治区シリンゴルで行っていた内モンゴル大学の教授達が、恐竜の化石の下に天然かんすいの莫大な堆積層を発見しました。
 ちょうどその頃、中国ではオーガニック食品の開発をはじめた頃でした。オーガニックの麺造りには天然かんすいが必要になり、今後必ず世界中で求められるだろうと考え、1999年、官営の天然かんすい工場が完成しました。現在では、中国国内に数カ所の天然かんすい工場があります。
 岐阜県の木曽路物産の鹿野正春社長さんは、以前から中国のオーガニック食品を開発し、国内販売を手がけていました。鹿野さんは、中国から試験的に天然かんすいを輸入しました。
3、天然かんすいのラーメンの試作
 その天然かんすいのサンプルを、製麺業の林家の林圭一郎さんに国産無農薬小麦、中国内モンゴルの自然湖塩、天然水、そして天然かんすいでラーメンの麺を試作してもらいました。
 その麺で化学調味料を一切使わず、出来るだけ無農薬・無添加の食材を使っている東京・秋葉原のラーメン創房「玄」の田中兼一さんにお願いして、天然かんすいラーメンを試作してもらいました。
 天然かんすいが麺の小麦粉のうま味を引き出し、スープのうま味とマッチした美味しいラーメンが出来あがりました。テレビチャンピオンの「ラーメン王」に2回も輝いた石神秀幸さんも認める美味しさでした。
 天然かんすいにはタンパク分解酵素やデンプン分解酵素が含まれている可能性があります。タンパク分解酵素は小麦粉のタンパク質をうま味成分であるアミノ酸に変え、デンプン分解酵素は小麦粉のデンプン質を糖に変え、麺を美味しくしていると考えられます。
 合成かんすいにはタンパク分解酵素もデンプン分解酵素も含まれていません。タンパク分解酵素やデンプン分解酵素が十分に働くには一定の熟成期間が必要です。天然かんすいでつくった麺はつくったその日より、約一週間熟成させた麺の方が美味しいのです。
4、国内販売に立ちはだかった壁
 鹿野さんに天然かんすいの国内販売をお願いしました。しかし、予想もしなかった壁が立ちはだかったのです。厚生労働省の食品衛生法では「かんすいの表示は化学合成のかんすいしか認めない。天然かんすいの表示は使えない」というおかしな法律があるのです。
 そこで、やむを得ず原材料の表示には「炭酸ナトリウム」とし、欄外に「この炭酸ナトリウムは合成かんすいではなく、天然のかんすいです」と表示することにしました。
 ようやく2000年から、天然かんすいは国内販売されるようになり、今年になって「蒙古王(モンゴルワン)かんすい」と表示することが認められるようになりました。しかし、相変わらず天然かんすいとは表示できません。
5、ニセモノに注意
 最近、中国の内モンゴル自治区ジランタイのナチュラルかんすいなるものが出まわっています。しかしこれはナチュラルでも天然でもなく、合成かんすいなのです。
 合成かんすいはソルベ法という製造方法で作ります。これは、食塩と炭酸カルシウムと塩化アンモニウムを反応させ、化学合成して炭酸ナトリウムを作ります。このかんすいは精製された食塩のかわりに天然塩を使っているだけで、炭酸カルシウムと塩化アンモニウムを反応させ、化学合成して作ったものです。化学合成にもかかわらず、ナチュラルとか天然とか表現しているのは問題があります。
6、化学調味料を使わない天然かんすいラーメン
 化学調味料を一切使わず、原材料にも化学調味料を使っていない味噌やしょう油などを使い、天然かんすいの麺を使ったラーメンを食べれる店が何軒かあります。是非一度味わってください。

化学調味料を使わない天然かんすいラーメンの店

店名 住所 電話番号
ラーメン創房 玄 総本店 東京都千代田区外神田2−3−10 03-3253-1781
ラーメン創房 玄 初台店 東京都渋谷区本町2−4−3 03-3375-8817
ラーメン 玄々 東京都港区新橋4−27−7 03-3435-0141
ら・めん 風 東京都墨田区本所1−10−1 03-3829-5877
麺舗 よしむら 埼玉県入間市鍵山2−8−25 0429-66-6051
じゃんけん心身 北海道帯広市西2条南29−2弥生通り沿い 0155-22-8239

営業時間、定休日などは各店に電話でお問い合わせ下さい。

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